ふくしまは、今日もそれなりに長閑です

福島県のどこかに住んでいる、平凡な主婦の福島への愛にあふれたブログです

えだまめくん

斉藤さんの畑には、人がたくさんいたんだよ

 

雨が降ったら長靴で、小さいあんよが遊んでた

 

シワシワお手ては優しくて、僕はあの手が好きなんだ

 

最近少し辛そうで、おひざに手をつきフウフウ言うね


おんちゃん休んでっせよと、血管浮き出た茶色いお手て

 

 あっちに行っていなさいと、言われて膨らむスベスベほっぺ

 

はーこわいと伸びをして、腰をトントンふくよかお手て

 

スベスベほっぺを追いかけた、指輪がキラキラ真っ白お手て

 

親父も年を取ったなと、大きいお手てが震えたよ

 

子供みたいなもんだよと、斉藤さんのシワシワ笑顔

 

僕は自慢の息子かな?

 

ちゃんと美味しくなれたかな?

 

長生きしてねと伝えたい

 

飲みすぎないでね吸いすぎないでね、ずっと元気で畑にいてね

 

だけど話せる口がない

 

次があるなら僕はまた、ここへ来たいよ会いたいよ

 

大事に食ってもらえよと、僕へのみんなの最後の言葉

 

大好きだったあの場所を、離れて袋に入ったよ

 

お店のキラキラ眩しくて、ちょっとドキドキ皆が見るよ

 

だけど寂しくないのはね、袋に斉藤さんの顔

 

僕は立派な枝豆だい、お胸を張って並んだよ

 

あら美味しそうとおばあさん、僕を抱き上げフンフンお歌

 

おばあさんちに行くんだね

 

美味しく食べてくれるかな?

 

お皿かザルか、どっちかな?

 

なるべくお願い、おばあさん

 

斉藤さんを覚えてね

 

もしも会うことあったなら

 

美味しかったと伝えてね

 

幸せだったと伝えてね